あんびるやすこだより
わたしのふるさと…2010年10月

どくしゃのみなさん、こんにちは。

またまた、あんびる便りを書くのをなまけてしまいました。ごめんなさい。
きょうは、わたしが生まれたふるさとのことをかきたいとおもいます。

わたしは、群馬県の前橋市というところで生まれて、大学にすすむまでの17年かんを、そこですごしました。
群馬県は新幹線にのってしまえば、たった45分でついてしまうのですが、それでも、ときどきとてもなつかしく感じます。
どんなことをとくに「なつかしい」とかんじるかというと、「風の音」、「青い空」、「夕立の匂い」です。

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群馬は強い風「からっかぜ」がふくのでゆうめいですが、その風が窓をがたがた、ぴしぴしとならします。
それはおそろしくて、さむざむしい音なのですが、なれてしまうと「あたたかな家にいる幸せ」を感じる音。
ここにいればだいじょうぶ、というあんしんなきもちにさせてくれるからです。
そして、そんな風がいつも空をそうじしてくれるので、ぐんまの空はいつも青くすんでいます。
それから、わたしがだいすきなのは「夕立(ゆうだち)」のにおい。
夕立は夏の夕方に、はげしくふる雨のこと。

はれていた空がきゅうにまっくらになったかと思うと、おおつぶの雨が台風のときのようないきおいでふりはじめます。
けれど、ながくても30分ですっとやんでしまい、
そのあとはなにごともなかったかのように、空はゆうやけにそまるのです。
群馬の夕立は夏の間、ほとんど毎日、そしてとてもはげしく降ります。
その間「かみなり」がひびきわたることでもゆうめいです。
その夕立のあめつぶがおちてくるまえのいっしゅん、ほこりがしめるようなどくとくの「におい」がします。
夕立のあいだは、だれにとっても「ちょっとおやすみタイム」。
すぐにやむとわかっているのですから、わざわざ夕立のなかを出かける人はいません。
町が止まり、雨とかみなりの音だけがひびく時間。
わたしはそんな時間がやってくることを知らせる「におい」がすきだったのです。

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みなさんはまだ「なつかしい」というきもちはどんなかんじなのか、わからないかもしれませんね。
でも、たった一年前のことでも、そのできごとにとくべつな「色」や「香り」、「音」のきおくがありませんか?
あとでおなじ色をみたり、おなじ音を聞いたり、感じたりしたときに、
そのときのきもちをとてもハッキリとおもいだすような・・・。
それが、「なつかしい」きもちのはじまり。
みなさんにたくさんの「なつかしいおもいで」ができますように。わたしもいのっています。

10月30日。わたしはそんななつかしい群馬県でサイン会をひらきました。
その日は、なんと台風の大雨。
そんな中、200人近い読者のみなさんがあつまってくれました。
きてくださったみんな、ほんとうにありがとう。
では、またつぎのあんびる便りでおあいしましょう。