どくしゃのみなさん、こんにちは!
わたしが住んでいる場所では、もう桜も終わってしましましたが、季節はすっかり春ですね。
みなさんも新学期をむかえ、あたらしいお友だちとの出会いがたくさんあったこととおもいます。
さて、どくしゃのみなさんからとどくお手紙をよんでいると、
物語だけではなく、絵もたのしみに見てくれていることがわかります。
わたしはそんなお手紙を読むたびに、
みなさんに本の「原画」をみせてあげたい、といつも思っていました。
今回は、わたしの「原画」が「丸善」という本屋さんにかざられることになったので、「原画」のお話をしようとおもいます。
「原画」というのは、わたしが手でかきあげた絵のことです。
それを「出版社の編集さん」や「印刷所(いんさつしょ)」のかたが、いっしょうけんめいにがんばって、なるべく同じにみえるように、本にしてくれます。
本は何万冊と刷られるので、印刷した絵は、本の数だけあることになりますが、わたしがかいた絵は、この世でたった1枚だけ。それが「原画」と「本の絵」との、いちばんのちがいです。
「編集さん」と「印刷所」のどりょくのおかげで、「原画」と「本の絵」の見た目は、あまり違いません。
けれど、「原画」だけがもっている「不思議な力」がたしかにある、とわたしは思っています。
それは「情熱(じょうねつ)」ということばがぴったりです。
美しさや、感じてほしいことを見る人に伝えるために絵はえがかれ、印刷でもそれはちゃんとうけとることができます。
でも、それを伝えたいとつよく願った画家の「情熱」は、「原画」をみたときのほうが、よりつよく感じることができるのです。 そしてその「情熱」が、みる人の心をゆさぶって、ドキドキさせます。
これが、わたしがみなさんに「原画」をみせてあげたいと思っている理由です。
もちろん、わたしの「原画」でなくてもいいのです。
もし見るチャンスがあったり、美術館にいくことがあったら、「この世でただ1枚の原画」をたのしんでください。
絵にぬりこまれているのは、絵の具だけではなく、かいたひとの「情熱」でもあることを、きっと感じ、ドキドキすることでしょう。 このドキドキが、みなさんのしなやかで、ゆたかな心を育ててくれるのです。
ですから、たくさんドキドキして、すてきなおとなになってください。
そして、東京のちかくに住んでいたり、こちらへくる用事があれば、今「丸善」にかざられているわたしの「原画」も見にきてくださいね。
26日まで、「なんでも魔女商会」と「ルルとララ」の原画を見ることができます。
24日にはサイン会もあります。
どくしゃのみなさんにまたおあいできるのが、とても楽しみです。
ではまた、つぎのあんびる便りでおあいしましょう。
2010年4月15日 あんびるやすこ